液晶相とは、固体、液体、気体ではないもう一つの相のことで液体のもつ流動性と固体のもつ光学異方性の両方を合わせもつことから名付けられた。ある種の有機結晶の温度を上昇させるきに、結晶状態から完全等方性液体までの途中に現れるのが液晶相である。この液晶相を含む有機物質が「液晶(Liquid Crystal)」であり、多くの場合細長い形をした棒状分子からなっている。液晶の特徴は、融点Tmで分子の位置に関する秩序(Positional Order)は失われるが、分子軸の配向に関する秩序(Orientational Order)は保たれることである。この配向の仕方によって、ネマチック液晶スメクチック液晶、コレステリック液晶の大きく分けて3つに分類される。ネマチック液晶は分子重心の位置がバラバラだが分子の長軸が一方向に揃っているもので、スメクチック液晶は一方向に揃った分子が層構造になっているものである。コレステリック液晶は層内で一方向に揃った分子が隣り合う層ごとに少しづつねじれて、らせん構造になっている。

 通常、液晶は2枚の平行ガラス基板に封入されて利用されることが多い。このとき、基板に各種の表面処理を施すことで、液晶分子の配列状態を広範囲にわたって均一にすることが出来る。液晶配向にはプレーナー配向、ホメオトロピック配向、ツイスト配向及びハイブリット配向などがある。しかし、このような配向状態に於いて全ての液晶分子が互いに完全に平行に並び、しかも基板に対して平行及び垂直に整然と整列していることはない。個々の分子は常に熱運動によってゆらいでおり、ミクロなレベルでの配列は乱れている。液晶を封入した系などに外力を加えると、ディレクターが場所によって連続的に変化する。このような変形を受けた状態の液晶はある歪みを有する連続弾性体とみなすことができる。

 このような特性を示す液晶は様々な応用に用いられている。その中でも液晶ディスプレイの発展は著しい。ディスプレイは19世紀末CRTの発明以来,TVやコンピュータなどの登場とともに大きく発展し,現在も相変わらず従来のCRTが市場のキングの座を保っている。しかし,最近パーソナル・モバイル市場の急激な拡大とともに液晶ディスプレイ(LCD)が急成長している。これからも液晶はディスプレイを中心としてその応用研究が一層激しくなるに違いない。


液晶とは
 
   結晶          液晶          液体
温度